令和6年度能登半島地震によって失われたスイミングプール

巨大地震によって傾いてしまったプール

ジュニア選手から「ギャザーが無くなるのなら水泳をやめようかな…」という声が聞こえてきた

震災によって水泳が大好きな子供たちの未来が奪われてしまうことは起きてはなりません

どうか、みなさま、子供たちの水泳教育を復活させるためにお力を貸してください

令和6年1月1日16時10分、石川県能登地方を震源とするM7.6と推定される巨大地震が発生し、僕たちの拠点である石川県七尾市も大きな被害を受けました。スポーツギャザー770は七尾湾のすぐそばの立地ということもあり、土地の液状化と地盤沈下が激しく、地盤ごと海側にすべり落ち、建物全体が海側に傾いてしまいました。プールには亀裂が入り、漏水はもちろん配管も大きく損傷しました。そして最も大きな被害は建物ごとプールが沈下し傾いたことです。25mプールの高低差が約40センチも発生しました。 建築構造の専門家に調査していただいたところ、建物を水平に戻す工事には莫大な費用がかかる上、建物の安全性を確保することは非常に困難であるとの見解でした。


建て替えへの決意

今回の地震では周辺の液状化の影響で建物自体が海側に傾いてしまい非常に危険な状態です。建築構造の専門家の方に詳しく調査していただきましたが、やはり現状ではこのまま改修して使い続けるのは難しく、安全性の保障はできないとのことでした。特に基礎部分の損傷が大きく、基礎梁や土中の杭自体に損傷を受けている可能性が高いとのことでした。

 

僕自身、最初にプールを見た時に、建物の傾きや隆起、色々なものを見て、「これでスポーツギャザーは廃業か」と思いました。これから復旧するにも莫大な費用と時間がかかりますし、簡単に直せるものじゃないと思いました。しかし、周りの方々から温かい応援のメッセージをいただいたり、ふと今まで指導してきた子供たちの笑顔を思い出すと、また水泳を教えたいという思いが込み上げてきて、今更自分の生き方を変えることができないことに気がつきました。震災後、修復か、建て替えか、決断するのに時間を要しましたが、悩んだ末に建て替えを目指すことに決めました。

 

建て替えると慣れ親しんだスポーツギャザー770の姿が失われてしまうような気がしましたし、私自身この決心をするまで様々な葛藤がありました。しかし子供たちには安全に泳げる場所を提供したいという思いが最優先であり、この決断に至りました。今まで当スクールに通ってくれていた子供たちからも、クラブ存続を願う声がたくさん届いています。プールに携わってきた者として、地域に対してできることはまだまだあるのではないだろうか、ここで終わっちゃうっていうのはどうなんだろうと考えるようになりました。

絶対再起する。こんなに強い覚悟をもったことは、今までの人生でありませんでした。


子供たちの現在

選手コースの生徒たちは現在、今年の「全国JOCジュニアオリンピックカップ」に向けて練習を行っています。

当クラブのプールは使えなくなってしまったものの、有難いことに同七尾市のノトアフィットネスクラブさんからプールをお借りすることができ、選手たちは週に3回練習することができております。このような支援のかたちも被災したクラブにとっては大きな励みとなり、前を向くきっかけとなります。本当に感謝いたします。

 

先日、金沢の「JSS粟崎」さんがプールを開放してくれて、地震後初めて子供たちが泳ぐことができました。子供たちが久しぶりにプールに入って、なんともいえない笑顔を見せてくれて…。僕も一緒にプールに入ったんですが、自然と緩んでしまう口角、こういう”力”ってプールにあったんだなと、初めて気がつきました。素敵な場所ですよね、プールって。